[エコノ考]「江戸前」の恵み戻る日 編集委員 近藤和行(BS日テレ「深層NEWS」キャスター)

[エコノ考]「江戸前」の恵み戻る日 編集委員 近藤和行(BS日テレ「深層NEWS」キャスター)
2015年2月1日3時0分 読売新聞

日本テレビ系列の人気番組「ザ!鉄腕!DASH!!」をぼんやりと眺めていた1月の休日の夜、改めて思ったことがある。

 ひとつは、自然を取り戻そうと、多くの人がいろいろな取り組みをしているのだなあ、という今さらながらの感慨だ。

 その日の放送は、横浜市にある「DASH海岸」(番組中の名称)で4年前から岩場を作り、ヨシを植え、砂でエサ場を造るなどしたところ、絶滅の危機にあるニホンウナギが棲すみついたことを紹介していた。

 エサとなるエビ類やカニ類なども戻れば、スズキやタコなども江戸前に帰ってくる可能性があるという。心も弾んだ。

 江戸前といえば、春告げ魚のシラウオが浮かぶ。池波正太郎さんの時代小説にもよく登場する。それを隅田川に復活させようと、青森・小川原湖から運び、放流する試みもある。今は高層ビルが林立する東京・佃島辺りは江戸時代は豊かなシラウオの漁場だったが、時を経て昭和20年代ころに漁は絶えたとされる。

 草の根レベルの取り組みは着実だが、心配になったこともある。番組はブラックタイガー(エビ)の赤ちゃんを、東京湾で確認できたことなども報告していた。湾内で繁殖している可能性もあるという。

 ブラックタイガーはおいしいので歓迎もするが、東南アジア原産の生き物がここまで北上しているのも最近の気候変動の影響だろうか、とやや心が曇った。

 地球レベルでは、山に目をやっても、森林は間伐や下草刈りなどの手入れが足りずに荒廃し、保水などの防災や二酸化炭素(CO2)吸収などの機能も相当弱っていると聞く。でも、「3・11」以降、国内の環境保護の気分は薄れた。石炭火力発電の新設が続き、CO2排出は野放しといっていい。

 環境対策は、実は今年は節目の年である。年内に国際協力の新しい枠組みを決め直すことになっているが、環境破壊の“損害額”の計算や、誰がどう負担するかで常にモメてきた。イギリスの経済学者が環境税的な発想を唱えてから半世紀以上が経つ。しかし、今なお解決したとは言い難く、国内でも浮かんでは消えを繰り返してきた課題である。

 国際協力など大構えな企てはしばし脇に置いても、個人レベルの日常の中で、何かできることはないのか。自然の恵みを取り戻す試みを応援できる仕組み作り――今年は、少しまじめに考えてみたいと思った。

喰うことに努力のある人には、環境学に関して常に学習できるよう、論文等を纏めるシステムが必要だと思う。同時に株式資本を募集できるようシステムを構築するべきだと思う。